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2011年2月 9日 (水)

あいいろの空気

Dsc02685

高校時代暮らしていた学生寮では、夜12時に電気が消され、明かりは朝の点呼の頃までつかない。
寮監によってブレーカーが落とされ、分電盤には鍵がかけられる。

三年のある夜。
その日はなぜか寝付けなかった。
学校で特に変わったこともなく、ストレスもないのに。
おかしいな。
眠れない。
眠れない。
ただ真っ暗な部屋でひたすら寝返りを打つ。

3時をすぎた頃か、これは眠れそうにないとあきらめて、部屋を出た。
寮の中は、ぼんやりと点いている非常灯の他は、闇に埋もれていた。
誰もいない廊下、食堂、学習室。
4階から1階まで、真っ暗な中をスリッパをペタペタいわせながら歩き回る。

しばらく歩き回ったころ、周りの闇が黒から濃い藍色に変わっているのに気がついた。

空気があいいろに変わる。

少しずつ、少しずつ、壁や天井や机があいいろに浮かび上がってくる。
まるで深海を潜っているように、空気に重みが増すように。
ああ、空気にも色があるんだと、初めて気がついた。
自分自身も世界も、すべて藍色に染められているのが、なぜかとても不思議に思えた。

自分の周りの世界は、スイッチのオン・オフで見えたり見えなかったするんじゃなくて、見えないところからゆっくりと形を現したり、見えていたものがいつの間にか輪郭を失ったりする。
けっこうアヤフヤな世界に自分がいるのではないかと、そのとき初めて思った。

結局、明けていく朝をながめてから部屋に帰り、あくびを噛み殺して朝の点呼を受ける。
授業中の眠いことと言ったらなかったなあ。














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