« 渓山荘〜ボーイズトークの夜〜 | トップページ | クロカン »

2010年2月16日 (火)

ジュンペーさん

Img_2441

大学4年のこの時期、卒業論文のデータを取るため実験の日々が続いていた。
その日も、担当の助教授の部屋の実験器具に向かって、細かく振れる針を読んでいた。
ストーブの上のヤカンの音と、助教授の机の上のラジオの音。
低くつぶやくラジオから、ニュースが伝えられた。

「・・・騎手の岡潤一郎さんがなくなりました・・・」

細かく振れる針を見つめながら、しばらく立ち尽くす。

(ああ、岡君、死んじゃった)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

岡君は隣町の様似出身。
JRA競馬学校入学前の一年間、地元浦河高校に通い、馬術部にも所属した。
当時中学生だった僕も、少年団の練習なんかで顔を合わせることも。
小柄で、ちょっとかっこ良くて、とても明るい人だった。

僕が高校3年の頃に、岡君はデビュー。
「ジュンペー」って呼ばれて、けっこう活躍していた。
競馬好きの寮の先生に「岡潤一郎って騎手、知ってますか?」と聞くと、「知ってるよ。上手い新人だ」なんて言ってて。
ああ、岡君は有名人なんだ、って鼻が高いようなうれしい気がした。

そんな岡君が亡くなってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・

亡くなる日の2週間くらい前だったか、岡君がレース中の落馬で入院したことを知る。
次の日からは、それまで買ったことも無いスポーツ紙を、毎朝コンビニで買って大学へ向かった。
新聞の記事は、岡君の状況が一進一退を繰り返していることを伝える。
手を握ると反応があった、とか、やっぱり呼びかけに反応しないとか。
徐々に状況は悪くなる。
肺炎を発症。
熱下がらず。

そして、帰らぬ人となってしまった。

大学卒業後、僕は地方競馬の仕事が決まっていたので、もしかしたらどこかで岡君に会えるんじゃないかと思っていたんだ。
だから、余計にショックだったのかもしれない。
卒業間際に配属先が騎手養成に決まったときは、ちょっと複雑な気分だった。
いまでもレースを見ると、怖いなとちょっと思う。
これでは教官失格だよな。

この季節には、ふとあの日のことを思い出してしまう。
あの日からもう17年。

|

« 渓山荘〜ボーイズトークの夜〜 | トップページ | クロカン »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 渓山荘〜ボーイズトークの夜〜 | トップページ | クロカン »